- 2日間のトレーニングを経て本日トレーニングマッチが行われました。現在の率直な印象をお聞かせ下さい。
木暮監督:まず、すごく良い試みだったなと思っています。自分自身もこういう所でやるのは久しぶりですけど、お客さんが来てくれたんだなという所と、女子のフットサルの面白さが伝わったのではないかなと感じています。ゲームの方は元々2軸あって、一つは女子代表全体の強化の一環として自分が関東女子選抜全選手を選んで、選手達にも「強化の一環である」という話をしました。そしてユースの選手の選手にとっては初めてのゲームは強い相手だったのではないかなと。恐らくスペインやポルトガルのU-19よりも強い相手でないと困りますし。そういう意味では2日という短い中でもユースオリンピックの相手と比較しても個の能力、フィジカル的にも一番上に来るであろうという相手とやれた事、そしてお客さんも来てといういろんな意味ですごくポジティブなゲームだったのではないかなと思っています。相手そして、見に来てくれたお客さん、セッティングしてくれた方々には感謝したいなと思います。内容としては元々ポジティブなものしかないので、いきなり飛躍させる事のできるマジシャンみたいな監督は存在しないですし、日々のトレーニングやプロジェクト、プランニングが大事だと思っています。今日はゴールではなく、通過点という意味では、良い所も悪い所も、通じた所も通じなかった所も、これをもとに改善していく事が大切なんだなと思っています。
- U-18の女子を率いるのは初めてだと思いますが、どのようにチーム作りをしていきますか?
木暮監督:U-18の上には女子のフル代表がありますので、一つは監督が同じという事は同じプレーモデルでU-18からフル代表へという流れを作るのが一番です。その中で頭の中に入る容量だとか、日常での戦術的な事をやっているかどうかという事もあるので、当然A代表と比べれば変化はありますが、基本大枠のモデルというのは一緒ですし、自分が女子の監督としてやる時にユースオリンピックがあるという事は知っていましたし、当然大きなプロジェクトで言えばユースオリンピックに出場する事から逆算してトリムカップでの日本女子選抜からも今回2人呼んでいます。そこで触れる事もできていますし、タレントキャラバンで丸岡や富山のLaufenには事前に行ってますので、全体的には自分と一緒にトレーニングした事のある10人を最終的にという意味では2日目ですが、全くのゼロからではなく、今日のゲームを含めても良い種まきと言いますか、やれる範囲の中では良い準備ができたんではないかなと思っています。
- ユースオリンピックの対戦相手を分析する機会も少ないと思いますが、目標としてはどの辺り考えて、選手に伝えていますか?
木暮監督:選手にはメダルを獲ろうという事は一言も言っていないです。ただ大事な事はフットサルという競技自体がオリンピック競技になって欲しい、日本だけではなく、そういう努力をしている方や世界のフットサル関係者、選手であったりはオリンピック競技になって欲しいという想いで活動していると思いますし、自分もその一人だと思っています。ユースというものは付いていますが、初めてオリンピックという名の付く大会でフットサルが競技になり、そこに行ける事は素晴らしい事だと思います。代表チームであれば結果が付いてくるものではありますが、まだ2日しかトレーニングしていない彼女達に金メダル獲ろうとか言うつもりは全くないです。ただ言える事は成長できる場であるし、まずは個人として成長して欲しい、一個人としてアスリートとして成長して欲しい、そして代表チームとして成長して欲しいという3点を選手にも伝えました。もちろんその成長という中には結果というのも含まれていますが、しっかりと良い準備が最大限できれば、後から良いものが付いてくるのではという期待は持っています。ただ選手に何もプレッシャーはをかけるつもりはないですし、良い意味でそういった舞台に立てるという事を楽しんで欲しいです。そして日本の他の競技は大人でもオリンピック競技にありますが、フットサルにはありません。女子フットサルチームが結果だけでなく、取り組む姿勢だったり、当たり前の挨拶だったり、雰囲気であったりだとかが、日本選手団の中で一番良いチームだったと、普段オリンピックの戦場で戦っている人達から思われるような、そういうチームを作りたいなと。そういうチームが作る事ができるという事は、当然良いものも付いてくるだろうなと思っています。
- 今日のトレーニングマッチでは相手に先行されて、後半盛り返す展開だったと思います。ハーフタイムにはどのように伝えたのでしょうか。
木暮監督:この2日間3セッションで普段と違う取り組み、戦術、セットプレーだとかを理解するという負荷をかなりかけたので、そしてフィジカル的にも今日3コマ目ですから、心身ともに負荷がかかった中でアプローチするのは戦術的な事ではなくて、ミーティングしていた事を再確認するだとか、良いプレーも悪いプレーも、何対何だろうとプラスにしか働かないと。唯一プラスに働かないとしたら、ここで下を向いてしまうだとか、諦めてしまうだとか、自身を失ってしまうと、先程言った成長につながらないので、毎日一歩ずつ後退する事無く、常に向上していこうと約束しているので、後半前半よりも良くなるようにしようと伝えました。
- 含めのキックインでは同じセットプレーを使っていましたが、その狙いは何ですか。
木暮監督:理解する速度やキャパという事で一度に多くのものというよりは、ひとつひとつ配置や狙い目を理解して成功体験や違うオプションというものを理解していく方が良いのではないかと。A代表やAFCであれば、普段フットサルをきっちりフットサルをやっている事もあるので求める事はできるかと思いますが、今回のアプローチとしてはアルゼンチンに行って最終的に大事なゲームの時にキチンとプレーモデルを理解して、それを高いレベルでできると良いと思っています。機能していたなという事と成功体験という事でピヴォにしっかり入れたいという事をやりました。
- あのようなパターンプレーを仕込む所はシュライカーっぽいというか木暮監督らしいなと感じます。
木暮監督:自分は用意したものを使う、トライするという所は選手の自信にもつながると思いますし、またプレーの中に全体のプレーモデルに必要な要素も入っています。何もなく淡々とゲームを進めても再現できない事もあるのでバランスを見て、こうやって前にボールを入れる事ができると感じてくれて、あわよくばゴールまで言ってくれればという所はありました。
- 相手の関東女子選抜も女子代表に近いという事もあり、今まで落とし込んできた事を体現されていましたので、やられ方もちょうど良かったのかなと思います。
木暮監督:自分としても面白かったです。関東女子選抜のセットも自分で意図を持って組みました。代表の強化、継続性、新規開拓を見たいなと思っていました。誤解なく言えば相手も良いフットサルをしていたと純粋に思いますし、自分とトレーニングした事ある選手は恐らく意図的に代表でやっているパターンをやってくれていました。この機会というのは素晴らしい事であり、女子のフットサルの面白さがあったりだとか、しっかり見てくれた方は、そのスタイルが好みは別として狙いを持ってフットサルをしているな、相手の関東の方はレベル高く、女子もこんなにできるんだなというパフォーマンスを見せてくれました。まるでチームかのようにセットの完成度が高い時間帯もありましたし、自分としては女子の代表チームの強化という面では相手チームから受け取れました。
- 関東は即興チームですよね?
木暮監督:そうです。ただほとんどの選手が代表やタレントキャラバンで自分のやり方に触れている選手が多いですし、一つのセットは完全に代表のメンバーで意図的に組みました。彼女達としても常々最後に「君達が代表で活動する後に代表で感じた事を各クラブに伝えて、良い意味で伝染していく事を求めている」と伝えています。まさしく体現してくれたのではと思っています。
- 後半U-18が3-2で代表を上回りましたがそれも収穫だったのではないですか?
木暮監督:それは一概に言えないですが、ポジティブに前を向いてゴールに迫っていくという所はできたと思いますし、選手にとっては無得点ではなく、3点獲ったというのは自信になると思いますし、良いシュートでした。伸びしろという面でスポンジのように吸収していくと思うので、良いゲームだったなと思います。