2015年に第1回大会が開催されたAFC女子フットサル選手権は決勝でイランに惜敗し、準優勝。そして木暮賢一郎氏を新監督に迎えた今大会も同じくイランに敗戦を喫し、2大会連続準優勝となったフットサル日本女子代表。今回のメンバーは、ベテランの復帰等の話題性もあり、伊藤前監督体制から7名が入れ替え、新たに14番藤田美桜選手がキャプテンマークを巻く事となった。
国内で2日の合宿と1試合のトレーニングマッチを経て大会の開催地であるバンコクへ入り、現地でもトレーニンマッチを実施。そして予選リーグを迎えた日本は初戦のレバノン戦で5-1と幸先良いスタートを切ると、2戦目のバーレーン戦でも13-0と快勝。順調に勝ち星を重ね、ノックアウトステージ進出を決定。更に3戦目の結果如何では準々決勝で前回大会優勝のイランと対戦する事になるだけに、大いに注目されたが、チャレンジをしながらも中国に競り勝ち、見事3連勝で準々決勝進出を決めた。準々決勝のウズベキスタン戦では終始相手を圧倒。選手に経験を積ませながら、地元タイとの準決勝を迎える事となった。
準決勝は地元の大声援を受けたタイ相手だったが、選手の成長が見られる試合だった。引いてカウンター攻撃を受ける事もあったが、攻撃は単発であり、スコアこそ2-1だったが試合の主導権は常に日本が握っていた。チャンスに確実に決められていればもっと楽な試合だったかもしれない。そして迎えた決勝戦は準決勝同様に前半はイランを圧倒。ここでも先に得点を決めていれば、結果は変わっていたかもしれない。それだけ前半の日本は優勢だった。しかし後半の失点から流れは一気にイランに。流れをつかみきれなかった日本は前回大会同様に準優勝で大会を終えた。
日本の戦いぶりは、大会全体を見ても一番戦術的であり、先進的だった事は間違いない。しかしそれだけでは大会に勝つ事はできなかった。試合後の記者会見で木暮監督は「これだけハイレベルなコンペティションは国内にはない。」と語った。確かに日本女子フットサルリーグであっても1巡しかされず、地域リーグでも年間10試合前後。しかし恐らくアジアのどの国でも国内のリーグ戦で、これだけのレベルのコンペティションの経験をを得る事はできないはず。それでは他の国はどうしているのだろうか。それは活動日程の増加と海外遠征だ。イラン代表はヨーロッパ遠征を数回行い、ヨーロッパの強豪と試合を重ねてきた。タイは積極的に代表活動を重ね、2017年8月にはタイ代表が日本へ遠征し、日本リーグの福井丸岡RUCKやバルドラール浦安ラス・ボニータス等とトレーニングマッチを開催。2018年3月には中国代表が同じく日本に遠征。東京都選抜、府中アスレティックFCプリメイラ、バルドラール浦安ラス・ボニータス、TapaZida、フウガドールすみだレディースと対戦している。特にこの中国代表の試合の映像を何試合か見たが、今回のAFC女子フットサル選手権を見て、正直ここまで成長できるのかと驚いた程。いずれのチームも一か月単位で強化策を図っており、それだけ強化の為にも代表活動の増加は必須とも言える。逆に新監督となって初めての大会、僅か1週間余りの準備期間という事をを考えれば今大会、日本はチームとして短い時間でここまで成長できた事、そしてこの結果は上出来と言えるのではないかと感じています。だからこそ木暮監督及びスタッフと選手には本当に頑張ったと言えるだろう。
しかし結果は受け止めるべきであり、アジアの女王に君臨する為には、代表活動が少ないからとそれだけのせいにする事はできない。日常でできる事からしなくてはならず、JFA、日本フットサル連盟を始めた各地域のフットサル連盟、クラブチーム、指導者、選手がいまできる事をしていかなくてはならない。木暮監督も「日常にアプローチしたい」とコメントしており、チームとの連携も多くなると思われる。次は2020年開催と言われているAFC女子フットサル選手権の戦いは既に始まっている。