兵庫県SWH Ladies Futsal Clubの初優勝となった第5回地域女子チャンピオンズリーグ。組み合わせが発表された時に多くの人が語ったのは「またか・・・」。全日本女子フットサル選手権で同じ組となったarco-iris KOBEと福井丸岡RUCKがこの地域CLでも同居する事となった。更にバルドラール浦安ラス・ボニータスも同じグループAに入り、日本リーグ3チームが同居する死のグループとなった。そしてもう一つ全日本と同じく同グループとなったのはSWH Ladies Futsal Clubとフウガドールすみだレディース。いずれにしてもこのグループA、Bは非常に厳しい組になったというのが、第一印象でした。
グループAはarco -itrisが圧倒的な強さを見せ、浦安、丸岡に完勝し、3連勝で突破。やはり日本リーグ優勝のarcoの強さは際立っていた。そしてグループBは初戦でSWHLとすみだが引き分けた事でワイルドカードの可能性が高まり、得失点差の争いに。2位でワイルドカードとなると準決勝でarcoと対戦する事になる為、すみだはパワープレー等を繰り出して首位突破を狙ったが、首位はSWHL、すみだはワイルドカードでグループリーグ突破となった。グループCは拮抗したチームが揃ったが、VEEX TOKYO Ladiesが2試合を終わった時点でグループリーグを突破が決定。ただ衝撃だったのはカレビッチ愛媛レディースの躍進。1勝2分の成績だったが、それぞれ個人の能力が高く、フットサルに取り組んでいる様子も伺える。試合を重ねる度に成長し、3戦目ではVEEXから勝利を奪った事実はフロックではないと思わせる程の内容だった。今後の活動に注目したい。
準決勝のarcoとすみだの対戦は驚きの内容だった。昨年同大会で対戦した時には2-1とすみだが勝利したが、今年はまさか8点の大差がつくとは。実力的にそこまでの差はないはずだが、先制点を奪ってからの勢いの凄まじさに圧倒されてしまった感がある。いずれにしても関東リーグ12試合で最少の11失点のすみだの大敗は衝撃だった。もう一つの準決勝SWHLとVEEXの対戦は一進一退の攻防だったが、連続得点で一気に試合の流れを引き寄せたSWHLが勝利。VEEXは昨年に引き続き準決勝で涙を呑んだ。
決勝は観客の人から「感動した」「チームで戦う大切さを強く感じた」という事を多く聞いた。良い意味で捉えて欲しいが、arcoは憎たらしい程の強さを持つ、代表選手を多く輩出している、日本有数のチームの代表格。それに対してケガ人も多く現実的な戦いをして少ないチャンスにかけたSWHLがしびれるような勝利を収めた戦いぶりは、判官びいきの多い日本人にとってはたまらない展開だっただろうか。そして日本リーグのチームに対して地域リーグのチームを倒したという事も背景にあったかもしれない。一つ情報を補完すると関西リーグは年間で試合数が5試合しかない状況であり、日本で一番リーグ戦が少ない地域。それでもarcoというライバルがいて、チーム力を上げ、優勝を勝ち獲った事は称賛に値する。この2チームはお互いに最強のライバルと相手を認め、同じ兵庫県内で切磋琢磨して高め合っていった結果とも言える。ただ敗戦を喫した後のarcoは怖い。一つarcoの小屋監督の舞台裏での言葉を紹介しよう。「日本リーグのチームが負けてはいけないんです。日本リーグの価値が下がる」。覚悟を持って日本リーグに参加しているarcoの決意が読み取れる言葉。arcoの逆襲にも注目したい。
最後に抽選と会場についていくつか触れてみたい。まずは抽選がなぜ偏ってしまったのか。複数チームが出場するのは関東(3枠)、関西(2枠)のチームだったが、正直グループCにいた関東第3代表が有利なのでは?というグループとなった。これが関西1位、関東1位が有利になるのであれば理解できるが、やや疑問符の付く組み合わせだった。もちろん抽選である事は分かっているが、地域の実績や結果によってグループ分けを行う等、よりレベルの高い試合を見せ、大会を盛り上げる工夫も必要となるかもしれない。また地域CLは第1回大会から20分ハーフで行われている大会。最大で3日間5試合は非常に過酷な大会であり、国内において一番チーム力が試される大会。しかし今回の会場は昨年の縦35mよりは長いものの、縦37mと本来の40mと比べて短い会場、そしてゴールラインの外、約1m50cmに壁が迫っている為、思い切ったプレーが制限される場面もあった。全国的にも40m×20mの会場を2面作れる会場は少なく、費用も限られている事は理解しているものの、何とか環境を整えてもらいたいとも感じた。個人的には全日本よりも価値の高い大会だと思っており、名実共に日本一を決める大会になって欲しいと切望している。