今季正式に発足した日本女子フットサルリーグ。男子Fリーグに倣い、プレーオフが開催された。アルコイリス神戸が4試合共に完勝し、改めて強さを見せつけた感があった。短期決戦のプレーオフ、事前にバルセロナ遠征で強化を行い、神戸に真正面から挑み、点の取り合いで華々しく散った丸岡。そして神戸を格上だと認めて、戦術を張り巡らせた府中。神戸は勝ち越される場面もあったが、40分で見てみれば、いずれの試合でも危なげない勝利ともいえる内容だった。誰もが目を奪われたのは神戸3番江口未珂。今季加入の選手はリーグ戦で14点、そしてこのプレーオフ4試合で10点をマーク。強靭な身体能力とコースを狙いながら放たれる強烈な両足のシュートは分かっていても止められず、まさに”怪物”と思わせる活躍ぶりだった。ただ、この大会のキーパーソンを挙げるとしたら6番小村美聡を挙げたい。フットサル日本女子代表の経験があるベテランは結婚、出産を経て今季本格的に復帰。家事子育て、仕事、フットサルの両立に苦しみながらトップフォームを戻し、このプレーオフの影の立役者となった。プレーオフ終了後、JFA関係者が小村選手に声をかけていた場面に遭遇。ママとして代表復帰の可能性もあるとすれば喜ばしい事だ。江口、小村の2選手には別途インタビュー記事を掲載予定だ。
一つ注目した点としては優勝の神戸、準優勝の府中、そして3位の丸岡共に選手交代がローテーションで行われている点だ。最後試合こそ神戸はセット交代に近い形だったが、府中、丸岡は人数的な事もあるのかローテーション交代を行っていた。セット交代、ローテーションの良し悪しは何とも言い難いが、特徴的だと感じた部分であった事は記しておきたい。またプレーオフ1回戦ではスポーツコートだったのが決勝ではフロアコートとなった。男子の事情だという事だろうか。
日本女子フットサルリーグは代表強化の為に設立。昨季全国から6チームでプレリーグが開催され、今季は北海道が加入して7チームで正式なリーグとして発足。来季は8チーム目が加わるという噂も聞こえているが、まだ地域リーグとの重複参加、そして今季同様セントラル形式の1巡と伝え聞いている。代表強化の為に設立されたリーグとはいえ、1巡では決して強化とは言えない感がある。その為にも地域リーグでレベルアップできる状況を作り、更にその中で一番のチームにならなくてはならない。今季アルコイリス神戸、丸岡RUCK以外のチームはそれぞれの地域リーグでは日本リーグのチームが優勝できていない。それは良い面でもあるが、あるべき姿とは言えない。試合後の記者会見で神戸小屋監督が言ったように、日本リーグはその地域で1番のチームになり、強いチームがトップリーグである日本リーグで戦う事があるべき姿。重複参加の場合は、そのチームを中心に地域リーグで優勝争いが行われ、日本リーグのチームを倒そうと切磋琢磨。そして代表を目指す選手が日本リーグのチームに移籍して行くのが、強化でもあり、普及でもある理想的な形ではないだろうか。まだ移行期である事を考えたとしても、やはり日本リーグのチームは違う、あのチームで日本リーグを戦いたい、早くそのような体制を作る必要がある。ただ現状の各チームの状況は伝え聞こえる限りはまだまだ難しいように感じる。鶏が先か卵が先かという部分はあるものの「代表の強化」を目指すリーグであるならば、各チームの体制強化は必須と言える。もちろんチームだけでは難しく、リーグ側と協力、連携していく事が必要。目的と手段を間違えず、日本女子フットサルリーグは「代表強化」の為の名実ともに最もレベルが高いリーグになる為に更なる関係者の努力に期待したい。