【予選グループA】
フットサル日本女子代表 0-6 フットサルブラジル女子代表
この日地元コスタリカの日本大使館員をはじめ、多くの日本人が来場。地元観客をも巻き込んで日本を大声援で後押しし、否が応でも試合前のテンションは上がる。日本の先発はGK1番山本選手(VALE)、2番堀田選手(SAICOLO)、3番中野選手(arco)、4番春山選手(arco)、9番関灘選手(arco)の布陣。しかし対戦相手は5年連続優勝を狙う絶対女王ブラジル。ブラジルとは2012年大会で対戦しており、その際は0-5と惜敗している。その差は埋められるのか、ロシア戦勝利の勢いをそのまま活かせるのか立ち上がりが注目された。
女王ブラジルはキックオフ直後から一気にアクセルを全開にして日本に襲い掛かる。開始2分にブラジルのエース7番ヴァネッサが左サイドでの1対1を股抜きで制するとカバーするまもなく素早く放ったシュートがファーサイドに強烈に突き刺さる。更にブラジルは直後にも10番ルシエイラが第2PKスポット付近から強烈な左足ミドルを突き刺し、日本はいきなり2点のビハインドを背負う。すぐさま日本はプレスをかけるが、これを嘲笑うかのようにディフェンスを喰いつかせてサイドでワンツーを多用し、一気に数的優位を作り出し、日本の守備に混乱に陥れる。しかし7分過ぎに登場した2番堀田選手、7番吉林選手(Alicante:スペイン)、9番関灘選手、11番藤田選手(arco)のセットに時にはペナルティエリア付近でプレスをかけ続け、押し込む場面を作り、攻撃にも良い影響を与え、その後のセットも徐々に守備の良いリズムができつつあった。しかし後半12分にブラジルは追加点を奪う。4番タチアーネが左サイドでディフェンスを翻弄し、シュートモーションからの切り返しを角度の少ない所から逆サイドネットのゴールネットを揺らした。これ以上の失点を防ぎたい日本だが、なかなか攻撃のチャンスを作る事ができず、守備に回る時間が多いながらも粘りのディフェンスを見せる。ロシア戦ではチーム戦術の理由で出番の無かった5番小出選手(VEEX)も登場し、良いテンポを作る時間もあったが、決定機までなかなか持ち込めずにいた前半18分、ゴールスローをカットされるとあっという間に数的優位のカウンターを受けて追加点を奪われてしまう。更に19分にも中ワンツーで抜け出た10番ルシエイラの折り返しを14番ルディアンが合わせてゴール。0-5とされて後半を迎える事となった。
後半、とにかく得点を奪いたい日本はオールコートでボールを追い回してプレスをかけ続ける。しかしブラジルはGKがボール回しに参加して狙い所を絞らせず、日本は走らされているようにも見える。日本はブラジルのフリーランやスペースへの動きに苦戦しながらもGK1番山本選手が好セーブを連発して追加点を与えず、気持ちを切らさないでゲームを維持し続ける。前半出番の無かった13番横山選手(FUGADOR)も出場し、何とかゲームを作ろうとするが、ブラジルの老獪なゲーム運びになかなかペースを掴む事ができない。ブラジルは少しずつ選手を温存しながらも日本を圧倒。後半18分、ブラジル11番キャロラインが左サイドでキープ。トップスピードで逆サイドへ走ったヴァネッサへスルーパスが通るとこれをスピードそのままに左足でダイレクトで合わせてゴール。女王ブラジルは日本を寄せ付けつけず0-6としてゲームを終えた。
この結果、予選グループAは3連勝でブラジルが首位通過。2位は2勝1敗でポルトガル、3位が1勝2敗の日本、4位は3連敗のロシアとなった。
【在原監督インタビュー】
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- 0-6とスコアは広がってしまいました。立ち上がりに失点してしまいペースを掴めませんでした。立ち上がり気を付けていた事は何かありましたでしょうか。
在原:基本的にはチャレンジャーとして今までをリセットしなくてはいけなかったのでブラジルのスピードにまず慣れる事が第一だと思っていました。相手が1stセットを使ってくる事はは分かっていましたが、ポルトガル、ロシアとは全く違うレベルなので、どういう入り方をしてもこういう結果になったと思います。ウォーミングアップ時に選手が少し緊張していたので試合前にロッカールームで緊張を解す話をして、できる限りの良い準備をしてコートへ送り出しましたが、誰が出るとか、どういう戦術をするとか、どういう気持ちで入るとかは関係ないと思います。単純にブラジルは1stセットで最初から試合を決めに来て、それに対して耐えきれる実力が今現在の日本に無かったというだけだと思います。
- 日本がブラジルに通用しないのはどういう部分だったと思いますか。
在原:ブラジルは即興ですべての選手とのコミュニケーションが取れて、良い状態で常にプレイしている所だと思います。自分達が良い状態で、相手が良くない状態を個人のレベルで作り続ける事ができる、且つ仲間とテンポを合わせる事ができるという点が最も大きな違いだと思います。
- 逆にブラジルに準備してきた取り組みの中で通用した部分はどうような点でしょう。
在原:相手がトップレベルの選手を合わせて来なかった時にポルトガル戦のように良い流れが作れるという時間帯が後半あったと感じています。あれが一番大きな進歩だと思います。試合開始時のような(トップレベルの)セットを組まれてしまうと今の日本では耐えきれないと思います。今回ゾーンディフェンスを想定して準備してきたので、(ブラジルの)マンツーマンだと準備する時間と相手の力量の差があった思います。それが見えた事が一番の自信になりますし、成果が出てき部分だと思います。そこから長い距離のカウンター等の引き出しを増やしていかなくてはいけないのですが、現在のトレーニング環境だと実際は難しいとは思いますので、監督としての時間という資源の配分の問題での決断が、ブラジルとの試合で出てしまいましたし、逆にロシア戦では準備してきた事がうまくいったという事だと思います。成果は後半に出た時間もありましたし、前半の終盤にも出す事ができました。あの部分に取り組んできて、ブラジル相手に出す事ができたというのが今回の成果だったと思います。
- 1勝2敗で予選グループ3位となり、5位決定戦に回る事になりました。最後の試合に向けて一言お願いします。
在原:チームの最初の目標である、「できる限り多くの勝敗のかかった試合をする」為に5位決定戦というチャンスを掴めたのは選手達がやりきった成果だと思いますし、機会を与えてもらえる事に感謝した上で、もう一度最後勝利でこの大会を終える事ができるように、最高の準備をしていきたいと思います。何も変えるつもりもありませんし、自分達が歩んでいかなくてはいけない道だと思います。何かのマジックではないのでシステムを変えた事でブラジルとの差が縮まる訳ではありませんし、気持ちの話をしたからといって縮まる訳ではありません。スコアはただそのゲームのスコアであって0-6だから、前回0-5だったからと何が違うとかいう話では無いと思っています。だからこそブレる事無く、自分達が今やれる、やるべき事をしっかりとやる、その為にも最終戦はもう一度自分達のアイデンティティを確かめながら、日本の未来に続ける為にもすごく重要な試合だと思います。良い準備をしてみんなで笑顔で終わる事ができるよう戦いたいと思います。