arco-iris KOBEの2年連続3回目で幕を閉じた第11回全日本女子フットサル選手権、今回は本当に見応えのある大会だった。触れなくてはいけないのはやはり決勝戦の面白さ。自然と声やため息が出てしまう程、見ていて引き込まれる試合展開で観客を魅了した。女子フットサルの試合を多く見てきた観客からも今大会の決勝戦が一番面白い試合だったという意見が多く出たが、私も同意する。決勝戦を戦った両チームには素晴らしい試合を見せてくれた事に心から拍手を送りたい。
しかし正直両チーム共に特別な事をしていた訳でも、目新しい戦術をしていた訳ではない。パススピード、シュートへの意識、球際の厳しさ、前へのスピード、切り替えの早さ、体を張った守備。当たり前の事を全力でコートの中でプレイしているに過ぎない。それでもこれだけ面白いゲームを見る事ができた。チーム力を上げるには個々がレベルアップをした上でチームとして統一感を持って戦う事が必要だと改めて実感させられた。決勝戦を見てこう感じた選手、関係者は多かったのではないだろうか。
優勝したarco-irisの強さについては改めて伝えるべくもないが、今季代表経験のあるGK佐藤選手(旧姓:秋元)が神戸を離れる事になり、心配されたが、GK5番竹田選手が奮起し、余りある活躍を見せた。また、昨年は限られた人数で試合をしていた感はあったが、新加入選手や今まで出場時間の限られていた選手たちが成長。地域予選でもターンオーバーを駆使し、選手、そしてチームの経験値を増やしていった。そういう意味でも関西リーグ発足はチーム力を上げる要因ともなった。
また今回躍進を見せた準優勝丸岡に関しては予選グループでVEEXを準決勝で浦安を破り、決勝進出を果たした。若いという事もあるが、相手に影響されながら試合をやる毎に成長している事を感じた。遠征や東海リーグ参戦を積み重ね、年々成長をし続けるこのチームはどこまで成長していくのだろうと末恐ろしく感じる事もあり、若い年代のフットサルへの挑戦を増やす良いモデルケースになっているとも言える。実はこの丸岡にはフィクサーがいた事を知る人は少ない。これはまた改めて紹介する予定だ。
さて今回関東は全国出場枠”4”が与えられたが、初めて関東勢がいない決勝となった。関東勢はレベルが落ちたという声も聞かれたが、実際には決勝に進んだarco-iris、丸岡以外には負けてはいない。決してレベルが落ちているとは感じないが、この2チームが関東を突き抜けているというのが正しいだろうか。欲を言えばトリムカップで関西勢は躍進しており、関西枠がもっと欲しいという気もする。優勝したarco-iris KOBEの選手曰く、「一番厳しかったのは兵庫県予選のSWH Ladiesだった。」こういう声からも関西の増枠を願いたい所だ。現在出場枠は予選出場チーム数を基にしたドント方式で決定されており、まずは関西全体での選手権参加チーム数の増加が必要だろう。選手、関係者の尽力に期待したい。
そして他地域も確実にレベルアップしている。地元北海道colmilloは浦安と最後まで接戦を演じ、Reinajoは優勝したarcoから2点をもぎ取った。更に九州のASTROも高い攻撃力を武器にVEEXと1点差ゲームを演じた。こうしてみると北海道、関東、東海、関西、九州と地域リーグが行われている地域は着実にレベルアップしていると感じる。やはりリーグ戦を行う事で問題点を分析して、改善していく良いサイクルができているものと思われる。是非男子同様に他地域でも地域リーグが発足し、全地域の上位チームが集まって地域チャンピオンズリーグが開催され、且つ各リーグにおいて昇降格のシステムができる事を願いたい。
さて来年も釧路での開催と伝え聞いている全日本女子フットサル選手権。今年は一つのターニングポイントになりそうな予感がする。来年この全日本女子フットサル選手権に出場するチームはどう変わってくるのか、どこが優勝するのか、来年への戦いは既に始まっている。