【コラム】片思いのラブレター - 女子フットサル|PANNA-FUTSAL

【コラム】片思いのラブレター

2014年4月13日 07:50

 当HPでは女子選手の入団、退団、移籍情報を掲載しています。チームの顔とも言える選手が引退したり、驚く移籍があったりと興味深いものがあります。既に情報として知ってはいるもののチームからの公式発表を待っているものも多くあります。その中の情報として関東女子フットサルリーグForest ANNEXの宇津木みる選手が今季で競技を引退するそうです。改めて経歴をさかのぼってみると本当に凄い経歴を持つ選手です。元フットサル日本女子代表であり、第3回アジアインドアゲームズ優勝を経験。FUN Ladiesでは前人未到の全日本5連覇を達成。Forest ANNEXに移籍してからは関東女子フットサルリーグ昇格に貢献し、今季は関東2位を獲得。更に地域リーグカップでも準優勝を飾りました。

 私がみるさん(そう呼ばせていただきます)を初めて見たのはFUN Ladies時代でしたが、正直最初はみるさんの良さが分かりませんでした。特に派手なプレイをする訳でもなく、リラックスしてプレイしている姿が、何かだらだらプレイしているようにも見えた事もありました。でもフットサルを知れば知るほどみるさんの凄さが分かってきました。決して恵まれているとは言えない体格ながらフィクソを務め、大型選手にも巧みに対応。特に危機察知能力は今でも日本有数の選手だと感じます。そしてスペースを見つける能力も高く、チャンスと見るや自らがそこへ走り込み貴重な得点を奪う高い得点能力も持ち合わせています。ある男子選手に言わせると「一番難しいと言われる、当たり前の事を当たり前にできる選手」、敵チームの選手からは「みるさんがコートにいると相手が6人のように感じる」と最大の賛辞を送っています。

 私は勝手にみるさんをキャプテン翼の主人公の大空翼のような選手ではないかと想像していました。敵チームにいるととても嫌な選手でありながら、味方になると本当に心強い存在になり、みるさんの笑顔を見ると何かやってくれる気がして不思議と負けない気がする。そんな存在ではないかと。そして人間的にも素晴らしく誰からも慕われる存在でした。

 しかし長年戦った体は悲鳴をあげていたようです。Forest ANNEXのトレーナーは私の知人であり、状況は聞いていました。本当は昨年で引退しようと考えていたようですが、1年だけという事で現役を続行したようです。そのトレーナーも競技への意識の高さには舌を巻いていました。みるさんは自身で低周波治療器を持ち歩き、体のケアも欠かさなかったようです。昨年の全日本女子フットサル選手権関東大会の時は同じホテルだったのですが、トレーナーに聞くと朝食よりも早い時間に起き、少し体を動かして体調を整えていたとの事。そうして体調を維持しながらフットサルを続けた1年だったようです。

 3/21(祝)、東京都女子フットサル大会、最後の公式戦となった3位決定戦の後に思い切ってみるさんに声をかけました。「すみません、最後に一緒に写真を撮って下さい」。普段写真を撮っているものの、撮られるのは大の苦手な私です。今まで女子フットサルの取材をしてからも選手とは写真を撮った事がほとんどありませんでした。久々の女性との2ショットは少し照れましたが、良い記念になりました。

 帰宅後、女性との2ショットに少しやましい気持ちもあったので妻に正直に話しました。

「今日、女性と2ショット写真撮ったんだ。相手はみるさん」

すると妻は

「あんた刺すよ。」

やべえ怒っちゃったかなぁ・・・と思って謝ろうとした瞬間、

「私がみるさんと一緒に写真撮った事無いのになんであなただけ!」

忘れてました、妻はみるさんが憧れの選手で競技フットサルの世界に入ったきっかけだった事を・・・。

 

 現役最後の試合となった4/12(土)、関東女子オールスターは見事に勝利。最後に観客席から「宇津木みるコール」が沸き起こる中、みるさんは胴上げされ、何度も宙を舞いました。まさに敵からも味方からも愛される偉大な選手でした。本当にお疲れさまでした。

最後にみるさんへ「やりたくなったらいつでも戻ってきて下さい。誰も文句は言いませんから」

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