とにかく強い!現地北九州でarco-iris KOBEの試合を見た方なら間違いなくそう感じただろう。どの試合でも危なげなく勝利を挙げ、相手を圧倒した。2年前の第8回大会で優勝した時にはそのチームスタイルに対して疑問の声をあげる人もいたようだが、今大会ではそういった声は少なく、その強さを認める声が多く聞かれた。
arco-irisは2年前とはまた違ったチームになっていた。強い気持ちはそのままにシンプルではあるが、ボールポゼッションを高め、無理に攻めず、やり直ししてチャンスを伺うというスタイルに変えつつある。大きな特徴はどうしても1対1やシュート力など攻撃面に目が行きがちだが、守備面での献身的な動きは特筆すべきである。ボールホルダーへは寄せるだけでなく、どうやって奪おうかという意識が強く、少しでもボールコントロールをミスろうものならカウンター発動のきっかとなってしまう。攻撃力が背景にあるからとも言える積極的な守備は評価すべき点だと感じる。そして特別な事をやっていない点も挙げられる。シュートへの意識、速いパススピード、少ないパスミス、パス&ゴー、セグンドへの飛び込み、切り替えの速さ等、当たり前の事を体現し、突き詰めているに過ぎない。これは「個人戦術を高めなければチームは強くならない。」というメッセージにも聞こえる。戦術やサインプレーを重視する風潮がある中、arco-irisがそれを真っ向から否定しているようにも感じてしまうのは気のせいだろうか。
またarco-iris KOBEを日本だけに留めておくのはもったいないような気がする。以前開催されていたnations CUP等、海外のチームとやる事で刺激を受け、よりレベル及び意識を高める事も可能なだけにチャンスがあったら是非チームとして海外へチャレンジしてもらいたい。
準優勝は過去3回3位を獲得しながらもなかなか準決勝の壁を崩せなかったCAFURINGA BOYS東久留米が全日本最高位2を獲得した。昨季、今季と全日本優勝経験のある選手の加入が続き、更に懸案だったGKには元なでしこJAPANのGKだった7番秋山選手が加入。経験は少ないながらも、急成長により守備の安定に大きく貢献した。
3位には全国10回連続出場のBardral浦安Las Bobitasと初出場のForest ANNEXの関東リーグ組が入った。浦安にとっては3位は悔しい結果と言える。悲願の優勝をと意気込んで挑んだ全国大会、arco-iris KOBEとの対戦では今季成果を上げていた守備で持ちこたえられず、主導権をとり戻す事ができなかった。それでも全国3位は立派な成績であり、充分な成果とも言える。そしてForest ANNEXの全国初挑戦も3位という結果を残した。経験のある選手の加入などもあり、チームの持ち味である堅守速攻を全国でも披露。初めて戦う異なるタイプのチームに対しても試合中にアジャストしていく等、高い能力を見せた。
そして東海女子フットサルリーグ勢のmemeber of the gang、FrontierFC、丸岡RUCKレディースも準決勝進出こそならなかったが、それぞれ予選グループ2位と健闘を見せ、レベルの高い所を見せた。
今大会感じた事としては、フットサルが浸透しつつあるなという感触。以前はロングボールを主な攻撃の主軸として、ロビングパス、ゴールクリアランスから一気にゴール前での混戦を狙うというチームもあったが今大会ではほとんど見られなくなっている。これはフットサル指導者資格構築の効果とも言える。とは言え、まだまだ都道府県リーグ、そして地域リーグも整備されていないのも現状。関係者の努力に期待したい。